オトナについて考えてみた

ちょうど1週間前の今日、成人の日。

朝早くから、こっくりこっくりと舟をこぐ頭をきれいにセットしてもらい、眠い目をこすりつつメイクをしてもらい、お気に入りの振袖に袖を通し、慣れない草履でよたよたと必死に会場へ向かう。

会場に着くと“友だち”という名の知り合いを探し、「久しぶり~!懐かしいね~!」と社交辞令のような簡単な挨拶を交わし、片っ端から写真を撮る。

そんな日。

少なくとも、わたしはそんな成人の日を過ごしました。

母が理美容師で、自宅でサロンを経営しているので着付けの予約取りには全く苦戦しませんでした。振袖もうちにあるもの。
成人式に向けて準備したものといえば、折り鶴のイヤリングを手作りしたことくらいでしょうか。

幼なじみと一緒にお揃いのイヤリングを付け、父の運転する車で横浜アリーナへ向かい、暇さえあれば写真撮影会開催。国歌斉唱はばっちり動画で残っています。
新成人代表のスピーチ中にやんちゃな子たちがステージ上に登り込み乱闘を起こすのは、わたしの代も例外ではなく「あ!去年テレビで見たやつだ!」なんてのんきなことを考えていました。

式が終わり、ひと通り写真撮影をして気が済むと当時お付き合いをしていた彼と合流し、ランチ。そして地元の温泉へ。
訳もわからず“成人の日”を朝から晩まで予定で埋め尽くしました。

両親へ今日までありがとう、ってちゃんと伝えたかタイムマシンで見に行きたいくらい。一体何をする日なのか認識していなかったように感じます。

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なぜウェディングカメラマンのブログ2記事目で成人式の話をしているのかというと、メイキングの撮影を母から命じられたからです。

「1月13日って仕事かな?あすかの成人式のお仕度の様子を写真撮ってほしいんだけど」

いや、おかん。わたし映像屋さんやで。

後日、あすかちゃんのお母さんと打ち合わせを行ないました。
写真へのこだわりはないとのことだったので、「些細なしぐさや表情まで残せるように」と動画で残すことをおすすめしました。

「お父ちゃんにプレゼントしたいの。きっと泣くと思うんだ~」

ころころと表情を変えながら嬉しそうに話してくれたかわいいお母さん。
母の友人ということもあり、なんとか期待以上のものをつくりあげたいと思いつつも、構成が思い浮かばずにいました。

ひとまず、「生まれたばかりのあすかちゃんの写真を探しておいてほしい」とだけ伝え、その日の打ち合わせ兼お茶会はおひらきとなりました。

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ウェディングに関することならポップコーンマシンのように次々と案が出てくるのに、今回に限っては漠然とした構成しかうまれてこない。
何をしたらいいのかわからない。
誰に話してみても、全くピンとこない。
成人式のお仕度シーンって必要なんだろうか、なんて企画倒れのことも思ったけどそんなことも言ってられない。
そんなことを悶々と考えていたら、ふと思いました。

そもそも、成人式って必要なんだろうか。

成人式に関する記憶は前述した通りですが、成人式の必要性に関しては何年経っても自信をもって伝えられません。
なんのために、決して安くはないお金を使いわざわざ人を集めて成人式を行なうのでしょうか。

成人式(せいじんしき)とは、成人式を行う年度内に満20歳となる人々を学齢ごとに各日本地方公共団体ごとに主に1月第2月曜日(成人の日)に自主的に招き、激励・祝福する行事(イベント)である。講演会やパーティーを開いたり、記念品を贈ったりする。

Wikipedia

調べてみたけど、よくわかりません。

なんとなーくわかったことは
“おとなになったことを自覚し、自らの力で生きていこうとする青年を祝い励ます日として法律で定められている”ということでした。(わたし個人の解釈です)
つまり成人式とは、自立して大人の社会へ仲間入りすることを自覚するための儀式のことらしいのです。

でも、おかしいと思いませんか?

だってわたし、成人式に参加しましたけど「よーし!これでわたしも大人の仲間入りだー!自覚が芽生えてきたぞ!」なんて思うような場面、なかったように思いますもん。
偉い人のお話をひたすら聞いただけの会。そんな印象でした。
「成人式楽しかった!」「すごくためになった!」という声も聞いたことがありません。

結局、役割を果たせていないってことですよね?

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そもそも“おとな”ってなにものでしょうか。

責任とか、お金とか、感情とか、立場とか。
様々な意見があると思いますが、わたしが思う“おとな”は「自分の気持ちを自分の言葉で的確に伝えられる人」かな、と思います。
感情任せに雪合戦のごとく片っ端から言葉を投げつけてくる人は幼稚だなと思いますし、口を開けずにもごもごと喋る人には顎に重りを付けて嫌でも口が開くようにしてあげたくなります。

この流れでくると単純なわたしは迷わずに、今の自分の考えていることを自分の言葉で伝えられるような環境をつくればいいんじゃないか!という考えに至るわけです。

成人の日の数日前、お顔そり(お肌のメンテナンス)に来たあすかちゃんを捕まえて、インタビューを撮りました。もちろんご両親には内緒で。
初対面のわたしに急遽大きなカメラを向けられ、根掘り葉掘り質問されるはたちの女の子。(ラーメン屋さんでひたすらに100マス計算をやらされているくらい意味の分からない状況なのに、嫌な顔せずに対応してくれてありがとう)
人見知りなんです、といいつつご家族のお話を楽しそうに話してくれました。

今回のキーマンはお父さんです。
お父さんについての質問は随時組み込み、たくさん情報を仕入れ、インタビューをしながら映像の構成を組んでいきました。

あすかちゃんの話を聞いているうちに、ご両親からもお話を聞いてみたくなりました。ご両親にはあすかちゃんの振袖姿を見てから、改めてお話を聞きたかったので、お仕度が終わりお見送り後にサロンに戻ってきてもらう約束をしました。
もちろん、あすかちゃんには内緒で。

もうお気付きですかね。そうなんです。
わたし、サプライズ大好きなんです。
両親の銀婚式(結婚25周年)のお祝いパーティーを企画するくらい、サプライズへのこだわりには自信があります。この話はまた後日。

サプライズ好きのわたしとしては、一刻も早くに反応が見たいじゃないですか。
ってことで、即日納品をすることにしました。
冒頭にも記しましたが、女の子の成人式準備はとにかく朝が早いんです。つまり、撮影後の時間はたっぷりあるんです。

普段はご納品までに60日ほどお時間をいただいております。
編集をしているとずーっと見ているせいで、何が正解かわからなくなってきてしまうんです。(この悩み、わたしだけじゃないはず。。)
ある程度編集が終わるとご納品までに一旦時間をおき、再度見直します。
第三者に見てもらい、意見をもらうこともあります。

ただ、今回ばかりはその日の感動が冷める前に見てほしかったんです。

普段こんなこと思ってくれていたんだな、とか。
こんな風に感じていたんだな、とか。
早く知ってほしかったんです。

同窓会から帰宅したあすかちゃんと一緒にご家族でご覧いただけたようで、ご納品後すぐにお母さんからお礼のご連絡がありました。
当日の感動が落ち着く前に見れたことで、より感情が動かされたとのこと。
わたしの狙い通り!センス抜群!天才!さすがわたし!
知っている言葉全てを駆使して褒めてあげたくなるくらい、すごくすごく嬉しかったことを今でも覚えています。(語彙力不足のため、さすがわたし!があれば基本満足します)

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少し話が脱線してしまいましたが
成人の日は、節目の日として「自分自身と向き合う日」であってほしいなと感じています。
いいことも悪いことも、今までのこともこれからのことも。
向き合うからこそ感じる想いが、絶対にあります。

人生に一度きりの貴重なチャンスです。
誰の為でもない、自分のために。きちんと向き合い自分の本音に気付くことができたら、自分の足で、自信をもって“おとな”への第一歩が踏み出せるんじゃないでしょうか。
「成人式」というイベントではなく、「成人の日」をどのように過ごすか。そこが重要な気がしています。

なんて、「成人式は振袖が着れる日」と認識していたわたしが、偉そうに長々と綴ってみました。
これもわたしの気持ち。うん、あの頃より、大人になれている気がします。

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