結婚っていいもんで。 

ウェディング業界でお仕事を始めて10年弱。

これまでたくさんの「ふうふ」を見てきました。
この2人の関係性すてきだなぁ~♡憧れるなぁ~♡と思うこともあれば、その逆も然り。何故この人を選んだのだろう・・と心配になることもあります。(余計なお世話ですが笑)
婚礼業界で働く人が婚期遅れがちと言われる所以は、ここにあるのかもしれません。理想ばかりがどんどんどんどん膨らんで、現実に満足できず、ギャップに苦しみ足踏みしてしまうようです。

例外なく、わたしもそのうちの1人でした。

どんな人と一緒にいればわたしは幸せになれるんだろう。
理想の家庭を築くためには誰が合うんだろう。

そんなことばかりを考えていて、遂には「自分の結婚相手として適任か」という目線で全世界の人類を見始めていたこともありました。笑
わたしは誰と一緒にいれば笑って生きていけるんだ?!と真剣に考えるお年頃になったんですね。ずいぶんと成長したもんだ。

そんなわたしが、理想のタイプとは似ても似つかない1人の男性と結婚を決意したお話を備忘録も兼ねて書き記しておこうと思います。


出会い

2020年、わたしたちは出会いました。

出会った時はただの「いいお兄ちゃん」という印象でした。優しくて、面倒見がよくて、物知りで、おもしろい人。男性としての意識よりも、かわいがってくれる人見つけた!くらいの感覚だった気がします。(失礼)

当時のわたしは【背が高くて黒髪細マッチョ、やや寡黙で不器用で表現がへたくそだけど、情に厚くて周りにいる数少ないともだちを大切にしている】、よく少女漫画で登場しそうな男性像を憧れとしていました。ひょんなことから関わるようになった怖そうな男子の不意に笑った顔にきゅんときちゃったりして、だんだん惹かれていって完全に恋してしまう展開の漫画に出てくるアレです。アレ。(わかってくれる女性はきっといるはず・・)

ところが彼は、わたしと同じくらいの身長でよく笑う陽気な人でした。フットワークが軽くどこのグループにもいる(気がする)し、関わる友人も多め。まっすぐに愛を伝えてくれます。理想とは似ても似つかない、そんなタイプ。

彼の片思いからスタートしたわたしたちの関係は、わたしの理想としていた恋愛ではありませんでした。

1年間アプローチを続けてくれましたが、当時のわたしには長くお付き合いをしていた方がいたため、前向きな答えを出せずにいました。どっちを選んだらわたしは幸せになれるの?とたくさん悩んだのを今でも覚えています。

お付き合いはしていませんでしたが、毎週のようにお誘いをくれてたくさんおでかけをしました。仕事終わりでも気軽に食事に行ける距離感で生活していたのも、わたしたちの関係を後押ししてくれた気がします。

人生初の告白

1年経ち、ようやく彼と歩みを進める決心をした頃には、既に見切りを付けられた後でした。「1年頑張ってダメだったから、他の人を探す」と。
その頃のわたしは恋愛と結婚は求めるものが違うことがわかり、理想の男性像を追い求めても長続きしないと理解し始めていた頃でした。

破談になるのは困る・・!と人生初の猛アピール期間に突入です。

お恥ずかしながら今まで自ら告白をしたことがなく、興味をもった人には好きになってもらう努力をして告白してもらうスタイルでした。うまくいかない場合はそっと身を引きます。
そんな恋愛をしてきたわたしが、上手にアプローチできるわけもなく。「もう会いたくない。会うのがつらい」とまで言われてしまい、絶望の日々でした。食事がのどを通らない・寝れない夜が本当にあることを知りました

ただどこかで、「この人は絶対わたしのことが好きだから、必ず戻ってくる」という謎の自信がありました。今思い返してもすごく不思議ですが、不安と絶望の日々を過ごしながらもどこかで安心している自分がいたのです。

これがちょうど今から1年前くらいのこと。

当時のわたしは、1年後に彼と初詣に行っている未来なんて想像もできませんでした。


結婚=ゼロからのスタートじゃなかった

結婚式でよく聞く「今日が新しいスタートの日」という言葉をそのまま鵜呑みにして、ふたりで1つずつ話し合いをしながら家族の形をつくりあげていくものだと思っていました。
それこそ、ふたりで足並み揃えて二人三脚で歩んでいくイメージです。

が、現実は全く違っていました。

落ち着いて考えれば当たり前のことではありますが、それぞれに今までの人生があります。生活があります。正義があります。
ゼロから積み重ねていくのではなく、それぞれが元々持っているものを平均化する作業が必要でした。プラスになるものもあれば、マイナスになるものもあります。

他人とのズレを感じた時に、「他人なんだから違って当たり前!そのうち慣れるから大丈夫!」と我慢する選択をし続けてきたわたし。我慢ができないときは、ソレからそっと距離を置きます。
そうして27年間生きてきましたので、今さら特に負担もなく。なんなら感じたズレの正体を探して、伝えることのほうがエネルギーも使うし、わたしにとってはストレスでした。良くも悪くも、他人に対して無関心だったのかもしれません。

それが良くないと教えてくれたのは彼でした。

違和感を教えてもらえなければ、また同じことを繰り返してしまうよ。
家族になるんだからちゃんと話し合いたいよ。
ふたりのバランスのいいところを探そうよ。

ここでは書き足りないくらいにたくさんの言葉をくれました。
お付き合いを始める前から、わたしの拙い言葉を一生懸命に理解しようとしてくれる人でした。そして、わたしにもわかる言葉で感情を伝えてくれる人でした。

一緒に過ごすようになってから、10ヶ月弱。まだ自分の気持ちを言葉にして伝えることに、ストレスを感じることもあります。でも、以前より「我慢」から遠い生活ができている気がします。

向き合うことを放棄していた今までのわたしは、彼の同居人にさえもなれていなかったのかもしれません。
一緒にいれるだけで満足でした。伝えることで鬱陶しがられたらどうしよう・・と不安に感じることもありました。変化に怯えていたのだと思います。

食卓は向かい合わせにするか、隣り合わせにするか
バスタオルはどの頻度で洗濯するか
消耗品のストックはどのくらい必要か
家具たちはどの位置にどの向きで置くか

本当に些細なことまで、相談をしました。
27年間実家で暮らしてきたわたしにとっては全てが新鮮でした。
生まれてすぐに家族のルールの中で生活をする。学生時代は学校のルール、社会人になってからは社会のルール。自らでルールをつくる機会など人生そう多くはなく、普段ルールで縛られていることの安心感や楽さを感じる日々でした。


できるだけ一緒にごはんを食べること
できるだけ同じ時間に布団に入ること
出かけるときはできるだけ玄関先までお見送りをすること

話し合いをせずに、自然とできたルールもあります。
まだまだ我が家には定まっていないことがたくさんありますが、その都度相談しながら少しずつ決めていく工程が実はたのしかったりもしています。

逃げずにきちんと向き合って本音で話し合いをすることの大切さを、27歳になってようやく知りました。みんなこうやって家族になっていくんですね。全ふうふに尊敬の意を込めて拍手を贈りたい気持ちです。みんな本当にすごい。


「なんで結婚しようと思ったの?」

結婚の報告をすると8割の人に聞かれる「なんで結婚しようと思ったの?」

お付き合いを始めて2ヶ月でプロポーズをしてもらい、翌月には両家顔合わせ。さらにその翌月には一緒に暮らし始めました。はやぶさも驚く、驚きのスピードです。
正直、決断が早すぎたのではないかと思ったこともありました。

冒頭でも記した通り、彼はわたしの理想のタイプではありません。この先、好きの感情が薄れた時、わたしたちの関係を繋ぎ止めるものはなんだろう?別れを選択することもあるのだろうか?
本気で考えました。

でも、この半年一緒に暮らしてみて答えがわかった気がします。

今までのわたしは「どうしたら自分が幸せになれるんだろう」を考えていました。
話し合いの機を放棄しているのも、自分が余計なストレスを感じたくないからでした。愛されたい、守られたい、かわいがられたい。だから、我慢の選択をせざるを得なかったのかもしれません。(後付けの理由ですが・・)

彼はどんな「わたし」でも丸ごと受け止めてくれる人です。
ご機嫌の時も、寝不足の時も、体調不良のときも、楽しいときも、悲しい時も、自分で自分の感情がわからず上手に表現できない時も。どんな時も見捨てられない安心感があります。
だから遠慮なく伝えることができます。

彼は些細なことにも喜んでくれ、「ありがとう」を届けてくれる人です。
落ちているゴミを拾ってゴミ箱に入れただけで、ありがとうを伝えてくれます。帰りにスイーツを買って帰ると、顔をくしゃくしゃにして喜んでくれます。
笑う顔見たさに、彼が喜ぶだろうことを探しながら生きています。(きっとこの記事を目にしたら、とんでもなく喜んでくれることでしょう。教えないけど)

今まで受け身になって「どうしたら幸せになれるんだろう」と自分主体で考えていたわたしが、「わたしが幸せにするんだ!」という決意をメラメラ燃やしています。
この思考の変化は日々生活をする中で、とてもプラスに働いてくれているのです。

「しあわせ」に対して自発的になれたのはきっと、彼が惜しみない愛情を注いでくれているからだと思います。

何があってもわたしの元から離れていかないという安心感が、わたしを強くしてくれています。だからわたしも自由に表現できるし、伝えられるし、注げるのだと思います。彼に馴染むのではなく、一緒に考えて一緒につくりあげていくことができるのです。一緒に家族になっていくのです。

理想や憧れのタイプとは違うし、趣味も性格も思考も合わないことたくさんあるけど。
お互いの話を聞いて自分の気持ちを伝え合えているわたしたちは、きっとこの先もたくさんぶつかって話し合って、打ち寄せる波のように近付いたり離れたりを繰り返しながら、わたしたちペースで少しずつ確実に歩んでいけるんだろうなぁと他人事のようにぼんやり思っています。

愛を求めていたわたしが、自分の持てるすべての愛を注ぎたいと思える男性に出会ったお話でした。
結婚っていいもんです。

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